無人航空機と空飛ぶクルマ、大阪万博

 大阪万博の目玉として、空飛ぶクルマをデモフライトさせる計画が動いています。実はあまりよく知られていないかもしれませんが、この空飛ぶクルマは、航空法令上ドローンと同じ無人航空機のカテゴリーに区分されています。国交省の航空当局もドローンと同じ無人航空機安全課が空飛ぶクルマを担当しています。
 これはなぜか。その理由は、空飛ぶクルマは空の移動革命の本丸と目され、将来的にはパイロットが同乗しない無人による自動飛行や自律飛行を見据えているためです。ゆえに既存の有人機というよりは、無人航空機と親和性が高いとみられています。
 無人航空機は、よく知られるドローンに代表されるように、空撮や物資輸送、老朽インフラ点検、3D航空測量、物件投下(薬剤・肥料等の散布)、植生判定、滞空警戒監視モニタリング等に、益々活躍の場が期待されています。これらのドローンビジネスだけでも年間平均成長率で年20.3%増と驚異的な成長市場にあります(国の補助金を活用したドローンビジネスを検討中の方はぜひ弊社までお問い合わせを)。
 そして、さらにドローンの先の延長上に、空飛ぶクルマも含まれるという視点が加わると、現在のいわゆるドローンの航空法令上の規制、例えば機体関係や技能証明関係の規制はかなり過渡的なものであることが分かります。それだけではなく、現在のドローンは、空飛ぶクルマをも含もうとする、いわば不可逆的な大きな潮流の中で産まれている確かな制度であると理解できると思います。将来的には同じ免許で空飛ぶクルマを飛行させるための限定区分が新設されたりだとか、そういった近未来の制度展開が見えてくると思います。
 現在、一等の無人航空機技能証明を持っていても、第一種型式認証を取得している機体が数機しかないので、国家資格は持っていても意味がないし今後普及するかも分からない、そんな声も一部耳にします。しかし待ってください。その視点の先には空飛ぶクルマも見えているでしょうか?第一種型式認証を取得する機体だって、大きなペイロードを持つ機種を中心に今後次々開発されてくるのは必定と予想します。その機体メーカーには、近年エアモビリティに着目し始めた大手自動車メーカーや、既存の航空機メーカー、これらとの合弁ベンチャー、さらには電動機ということで異業種からの参入も大いにありうると私は考えます。
 現在、大阪万博は折からの開催費用の増大問題に加え、能登半島地震被災地の復興支援要請が急速に強まるなかで開催是非が議論されるなど、かつてない岐路に立たされています。大阪万博が空飛ぶクルマのひのき舞台となるか、引き続き静かに見守りたいと思います。

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