改正行政書士法成立。施行は令和8年1月1日から。

 改正行政書士法が衆参両院の可決を得て6/6に成立しました。施行は来年1月1日からです。

 今回の改正法のポイントは2点あると思います。
 一つ目は、特定行政書士の職域の拡大についてです。これは弊社の取扱業務にも係るものです。2つ目は、行政書士登録(行政書士法人含む)を受けていない者に対して、そのような者が行政書士業務を行う場合の罰則規定の改正です。

 まず、特定行政書士業務の職域拡大についてですが、今回の改正で、行政書士の前段階関与のない官公署(=行政庁)申請事案、いわば完全本人申請事案の不服申し立て代理ができるようになりました。これまでは、行政書士の前段階関与のある事案に限って紛争代理できるという内容でした。(但し、行政書士が代理人として作成できる書類に関しての紛争、という限定は残っています。ですので、特許の拒絶査定や課税処分の不服申立代理等はこれまで通り除く、ということになります。)

 但し、行政書士が扱う許認可等は国内に1万種類を超えるとされています。令和元年度の統計ですが、国の行政庁において処理すべき不服申立件数は68,519件、地方の行政庁において処理すべき不服申立件数は27,998件、合計96,517件にのぼっています。今回の法改正によって、約10万件に及ぶこれら行政不服申し立て事件の代理が特定行政書士の業務範囲に含まれるようになります。これらの不服申立は、民事訴訟の審理とほぼ同じ手続で行われます。口頭意見陳述など口頭手続の代理も当然含まれます。(特定行政書士法定考査は民事訴訟法や要件事実、事実認定、証拠法など、民事実務基礎も試験範囲です。)特定行政書士は、行政絡みの紛争を扱える刀を持ち、行政法令に関する専門家として益々社会の中で重要性が増すと言えると思います。

 次に、行政書士でない者への罰則規定については、「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が追加されました。これは、従来の合法違法のラインを移動するものではなく、あくまでも条文の趣旨を明確にするという改正です。これまで、名目を問わず報酬を得ていれば非行行為に該当するか否かについて、条文からは判然としない表現になっており、行政書士業務を無償で行えば非行行為に問われないとの脱法的解釈が社会に横行していました。今回の改正で、名目を問わず報酬を得ていれば非行行為に該当するという法解釈をそのまま条文に載せたことで、より一層、法規制の趣旨が明確になりました。

 改正法施行は来年の元旦からですが、今回の改正法について、コンプラの観点で自社の事業に影響が及ぶか否か判断に迷われている事業者の方もいるのではないかと思います。コンプラ遵守レクチャーや、企業・団体の多様な研修セミナー等で講演の機会をいただければ、業界に合わせて具体例で詳しくお話しすることも可能です。ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

 近日、日本行政書士会連合会から登録会員に向けて動画解説があります。詳しくはそれも視聴したうえで、後日改めて今回の改正法の解説動画の収録を考えています。弊社HPの文面も来年元旦の施行日に向けて徐々に内容更新していきます。

 弊社の今後の活動にご期待いただければと思います。みなさんとともに一層進化・成長して参ります。益々の応援をよろしくお願いします。

●参考URL 衆院法制局 議案情報 改正行政書士法要綱
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/housei/pdf/217hou36youkou.pdf/$File/217hou36youkou.pdf

●弊社HP 講演のご依頼、承ります
https://gxf.jp/2025/03/16/%e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%81%ae%e3%81%94%e4%be%9d%e9%a0%bc%e3%80%81%e6%89%bf%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%99/

●弊社 行政規制に関するご相談ページ(特定行政書士とは)
https://gxf.jp/2025/02/26/%e3%83%8b%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%8b%e3%82%89%e3%81%bf%e3%81%9f%e6%94%bf%e7%ad%96%e3%81%a8%e8%a1%8c%e6%94%bf%e6%b3%95/

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