速報! 我が国航空機産業の新戦略全容判明

 3月27日に、経産省の審議会(有識者等の特別職の行政委員で構成)において、我が国の航空機産業の新戦略が改訂されました。本日(3月28日)、会議の資料が公開されてその全容が判明しました。

 国民のみなさんの期待が大変高かった三菱航空機によるスペースジェット(旧MRJ)事業は撤退という衝撃的結末を迎えました。国産旅客機の開発はYS-11以来およそ半世紀ぶりの悲願でした。当時、三菱の開発拠点のあった県営名古屋空港からの初飛行映像を、全国各地で固唾をのんで見守り、離陸してうれし涙を流した大変多くの人の姿が今も、思い起こされます。

 その後、撤退という判断が下り、米国にフェリーされて3,000時間に及ぶ試験を行っていた飛行試験機も順次解体されました。悲報にショックを隠し切れなかった方も大勢いらっしゃることと思います。

 今回の資料は、スペースジェットが開発中止に至った経緯や問題点を整理し、次世代の航空機産業の成長戦略を描くものです。複数社連携による完成機事業の確立という方向性を打ち出して、2035年頃の事業化判断を描いています。

 先ほど公開されたばかりの資料でまだじっくりと読めていませんが、基本的にわが国航空機産業には底堅い機体開発能力はあるので、あとは如何に国際的な商用型式認証をスムーズに取得できるようにするかということ。この部分が、スペースジェット開発中止から突き付けられた、重くのしかかった課題だと思います。

 資料を見ても、機体開発フェーズ自体の説明は厚くされていますが、型式認証フェーズの体制整備をどう整えるか、あまりはっきりとは見えない印象です。壮大な開発および撤退劇を何度も晒さないために、まだ2035年まで10年ちょっと時間はあります。日本政府も、その部分を本気で強力に強化していく必要があると思います。

 今回、スペースジェット撤退から間髪入れずに次世代完成機事業のロードマップが策定されたことは大変良かったし、うれしく思います。国民の日の丸旅客機量産の期待は大変大きなものがあるので、次は何が何でも成功させなければならない。私は強くそう思います。

●引用元 資料2 我が国航空機産業の今後の方向性について(55頁等)https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kokuki_uchu/pdf/2023_001_02_00.pdf

経産省第1回 産業構造審議会 製造産業分科会 航空機産業小委員会https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/kokuki_uchu/2023_001.html

NHKニュース 国産ジェット旅客機の開発撤退の教訓をもとに新戦略案 経産省 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240327/k10014404261000.html

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