法令解釈:「A,B,Cその他のD」と「A,B,Cその他D」との違い
法令解釈する際に、1字であっても読み間違えると意味が大きく異なってくる表現があります。
例えば、「A,B,Cその他のD」と「A,B,Cその他D」という書き方。意味の違いが分かる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
まず、「その他のD」の場合。この場合は、DはA~Cの例示と解釈されます。つまり、DはA~Cとは独立・無関係なDであってはならず、A~Cに類するようなD、という限定が付きます。
次に「その他D」の場合。この場合は、DはA~Cとは独立・無関係なDを意味します。つまり、A~CとDは、それぞれ並列関係にあり、お互いに独立・対等な関係になります。この場合は、DはA~Cに類するものである必要はないです。
憲法の有名な条文で具体例を挙げます。まず、「A,B,Cその他のD」の表現。これは、9条2項が有名です。「陸海空軍その他の戦力」の部分です。その他の戦力の戦力は、あらゆる戦力を意味するのではなく、陸海空軍のような戦力、という限定が付くことになります。
次に、「その他D」の表現。これは、47条などにあります。「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項」の部分です。この場合の両議院の議員の選挙に関する事項は、選挙区、投票の方法に類するものである必要はないです。あらゆる両議院の議員の選挙に関する事項を意味しています。つまり、選挙区、投票の方法に限定されない両議院の議員の選挙に関する事項、という意味になります。
結構、これは法令中あちこちで使い分けされています。これを知らないと、大変な読み間違いをする恐れがあるので、法令解釈を行う際には注意が必要です。