トランプ氏狙撃未遂事件の余波

 昨日(日本時間:令6.7.14)、前米国大統領のトランプ氏が次期大統領選に向けた選挙集会で演説中に狙撃された。右耳を銃弾が貫通し血だらけとなりながら、星条旗を背景にこぶしを突き上げてUSAと声高に聴衆を鼓舞する写真が全世界に配信された。

 言うまでもなく、拳銃や刃物などの凶器を用いて自身の政治的主張と異なる意見を唱える者をこの世から抹殺しようという企みは、徹底的に糾弾されなければならない。

 日・米などの古今東西国を問わず、また、右派・左派を問わず、過激思想を持った者の犯行による政治家や公館等への狙撃や急襲、爆破などの遭難事件が後を絶たない。自身の政治的主張を押し通す方法として、凶行に走るのはそもそも間違っている。

 民主主義社会では、公職選挙で多数派を形成し民意を得た者が権力を掌握するのである。政治的主張を単なる意見表明に留まらず本気で実現したいなら、自身が立候補して世論を動かし、多くの賛同を得て多数派を形成する努力を払うべきである。今回の事件の背後関係等は今後の捜査が待たれるところであるが、賛同者が得られそうもないからとセンセーショナルに武力にものを言わせる方法は、単なる殺人や内乱等の凶悪犯罪でしかない。

 日本でも、街頭演説等の選挙集会における警備体制のあり方については、よく考えないといけないと思う。日本は銃社会ではないが、高度に発達した情報社会にあっては、銃火器であっても簡単に自作するための情報が既に誰でも入手できる時代である。アメリカでは大統領選等の選挙集会では金属探知機による手荷物検査が行われているようだが、日本でもそろそろそのような措置が必要な時期に来ているのかもしれない。

 国民世論の情報2極化について。先の都知事選で、とある候補者の振返り総括TV番組での発言に対する賛否が真っ二つに割れている。それまでにTVや新聞のみを情報源としていた層と、それ以外のYoutubeを始めとするSNS等のネット情報にも触れていた層とでは、受け止めが全く異なる事態を招いていることも大変興味深い。有権者各位において、発言評価の前提となる情報量が既に圧倒的に異なっているのである(但し、個人的には切り抜き動画は編集が掛かっておりおススメ出来ない部分が多々ある。情報を冷静に割り引いて受け取れるリテラシーある人向けのコンテンツだろうと思う)。

 日本においても、すでに情報格差およびそれに伴う国民世論の分断・2極化は確実に拡大しつつある。それを前提にして、次世代を担う政治家等公人の警備体制を不断に見直していく必要があると思う。

引用元 NHK トランプ氏銃撃 暗殺未遂で捜査 “20歳の容疑者特定”報道も
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240714/k10014511201000.html

Follow me!