M&A仲介で士業の果たす役割

 朝日新聞デジタルが、GW連休明けの5月7日から5月14にかけて、「M&A仲介の罠」と題した全6回の連載記事を出した。副題は「まやかしの事業承継」。いかにもワルそうなイメージを植え付ける副題である。

 このような見出しを付けられると、M&A仲介はすべてに罠があり、まやかしで事業承継を謳っているから危険だとの黒いイメージのレッテル貼りがされはしないかと危惧を覚えずにはいられない。

 弊社は経産省中企庁のM&A支援機関に登録されているM&A仲介アドバイザーである。しかし、そもそもM&Aはスキームの設計自由度が高いので、当事者がコストを惜しみ何もしなければ取引に高いリスクは当然つきものである。リスクを最小限にし、取引成立まで安全に導くために、アドバイザーがいるのである。

 例えば、企業買収では相手先企業のDD(デューデリジェンス)を必ず行うのが鉄則である。先に挙げた、国に登録されている弊社のようなM&A支援機関であれば、中小M&Aガイドライン第2版への遵守宣言を公開し、違反すれば登録取り消しや違反事実の公表などの重いペナルティを課されている。ガイドラインには、DD実施にあたっては、利益相反の観点から、M&A支援機関自らはDDを実施してはならず、必ず第3者機関によって実施すること、という内容も含まれている。

 M&A仲介を依頼するときは、まずは国に登録されたM&A支援機関であるかを確認することをおススメしたい。登録者でなければM&A仲介を行ってはならないということではないが、登録者はガイドラインを遵守し一定の歯止めを課されており、無登録者よりは信頼性が高いと考えてよい気がする。

 さらには、万が一事件を起こした場合は強制加入団体による行政処分が予定されている士業がM&A支援機関になっていれば、常日頃から紛争予防の観点で徹底的にアドバイスを行うはずであり、最も安全に取引できるだろうと思う。

 強制加入団体とは、例えば行政書士会であったり、会計士協会であったり、司法書士会であったり、弁護士会であったりである(但し、強制加入団体が存在しない士業もあるようなのでご留意を)。強制加入団体は行政庁として登録会員の懲戒処分という行政処分を行う権限を有している。

 つまり、M&A支援機関が士業の場合は登録M&A支援機関のガイドラインの歯止めと、強制加入団体からの歯止めと、2重の歯止めを課されている状態と言える。

●引用元 朝日新聞デジタル M&A仲介の罠 まやかしの事業承継
https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=2138&iref=pc_rensai_article_breadcrumb_2138

(令6.5.15追記) バトンズ(M&Aプラットフォーマー):M&A関連トラブルを防止するための取組みについて
https://batonz.jp/company/press-room/2024-05-07

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